
その日、俺は最高に運がよかった
いや、運だけではない
俺の格闘技に対する情熱がこの出会いを呼び込んだのだ
この旅の中で、俺はとにかく出会った人全てと言っていいほどに「この辺りで格闘技の練習をしているところはないか」と聞きまくった。
タクシーの運転手、屋台のおばちゃん、ゲストハウスのフロント、その辺でたまたま会話を交わした人....
そして彼に出会った。
ナイジェリアからやってきた謎の男、ジョンである。
かつて空手を習っていたという彼は、俺がブラックベルトだと告白すると、なんだか凄いテンションになった。
そして彼はなんと、このシェムリアップでカンボジアの武術「ボッカタオ」を学んでいると言う。
幸運だった。ジョンは、ボッカタオのマスターに俺のことを紹介してくれると約束してくれた。次の日、彼と待ち合わせをして道場に向かう。
"ボッカタオ"
この名前を知っている人は少ないだろう。
知っていたら相当の格闘技マニアか変態である。
クメール王国の軍隊が使っていたとされる武術で、アンコールワットの壁画にも描かれているが知名度は低い。
ポル・ポトの弾圧により使い手の多くは処刑され、衰退の一途をたどっていたのだ。
一度は失われかけたこの伝統武術を、現代に蘇らせた人物こそが、これから向かう道場のマスター・キムサン先生だ。
それにしてもジョンはなかなかの男である。
自転車に乗って出発したのだが、彼はバイクと並走するようにへっちゃらで車道を走る。
そして車が車線変更をするようなノリで、後ろから走ってくる車の前をウロチョロしながら、前から走ってくる車に正面から向かって行くように、道路を横断するのだ。
「ひぃぃぃ!!!!おいおい頭おかしいだろあんた死にてぇのか!」
残念ながら俺の心の声が彼に届くことはない。
暴走する彼の後ろにひっついて、なんとか目的地に到着する。
未知の格闘技に触れ合える幸福。この時、俺の脳からは変な汁がドバドバ出ていた。
挨拶を済ませ、練習に混ざる。
ジョンは、「こっちだ」「彼がマスターだ。こっちは日本からやってきたシン。」「これ、写真に撮りなよ」「(勝手に道具を持ち出して)さぁ、準備運動にまずはこれ」などと、周りの屈強なボッカタオの戦士達をよそに、自由に振舞っていた。
190cmはあろうかという長身と、黒い肌を持つジョンは、道場内でも異質なオーラを放っていた。
空手家の挑戦、第二章が今始まる!
つづく


一日一回クリックで、ランキングに反映されます。
お手数でなければ応援よろしくお願いします(•ө•)♡
↓↓
にほんブログ村↑↑
[17回]
PR
http://vn38arts.blog.shinobi.jp/vs%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AA/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E6%AD%A6%E8%A1%93%E3%80%81%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AA%E3%81%AB%E6%8C%91%E6%88%A6%EF%BC%81カンボジアの伝統武術、ボッカタオに挑戦!
COMMENT
無題
第2章楽しみ~♪(^-^)
Re:無題
今度のジムは小屋みたいな所だった。
でもTVに取り上げられたりする凄い所らしい。
無題
Re:無題
出し惜しみしてかないとブログ続けられない笑
No Title
Re:No Title
ジョンはこの後も奇想天外な行動で驚かしてくれます。
後編もよろしくです☆